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三輪 紗弓 | メンバーストーリー | エーザイ株式会社 採⽤サイト

作成者: eisai|2026.01.20

高専で培った探究心が、薬の品質を守る力に。物性試験と向き合う品質管理の最前線

 

2023年にエーザイに入社した三輪 紗弓。高専で培った高分子化学や分析機器を用いた研究経験を活かし、品質管理部IPC(In Process Control)グループで物性試験に従事しています。「なぜ?」を突き詰める探究心を大切に、品質管理の現場でのやりがいや挑戦を語ります。

「なぜ?」を突き詰める探究心と好奇心が、分析のおもしろさへとつながっていく

 

幼少期の私は、人見知りな性格でありながら、物事に対する探求心と好奇心が旺盛な子どもでした。疑問に思うことや不思議だと感じたことは、自分が納得するまで徹底的に考えて、たくさん質問をして母を困らせていました。

とくに理科や科学、算数といった分野において、「なんでこうなるんだろう」という疑問を抱くことが多く、正解に至るまでの計算式や解法の理由、図形の証明問題などに強い興味を示していました。このような探求心は中学生頃から顕著になり、答えが見つかるまで集中して取り組んでいましたね。

高専時代には弓道部に所属し、弓道では弓を引く所作に深い意味があり、綺麗に的に当てるためには肩の位置、引き方、さらには細かな指の配置調整までもが重要になってきます。こうした細部への配慮と、一つのことをじっくりと向き合いながら習得していく作業が私の性格には合っていました。弓道の魅力は個人競技としての側面だけでなく、団体戦にもあって。チーム内でお互いに指導し合って、熱中して取り組むことができましたね。毎日のように朝練や、夜遅くまで残って練習を重ねる日々でした。

進路を考えたとき、当初は高校、大学という一般的な進学ルートを想定していました。しかし、理系分野への強い関心と、専門性を活かした職業に就きたいという目標を持つ中で、兄の受験をきっかけに高等専門学校という選択肢を知り、理系分野に特化し、就職に直結する実践的な教育を受けられる高専は、自分の将来像に最適だと、進学を決意しました。

高専では生物応用化学科を専攻しましたが、これは理科の教科書に掲載されている微生物などの肉眼では見えない生物の存在に衝撃を受けたのがきっかけでした。小さな世界で、多種多様な役割を果たしていることに驚き、そこから、生物学や化学の目に見えない領域をより深く学びたいという想いが強くなりましたね。

3年生までは全学生が同じカリキュラムを学びますが、その後は生物系か化学系の研究室を選択する必要がありました。実験を重ねる中で、IR(赤外分光光度計)による化学構造解析や、SEM(走査型電子顕微鏡)による表面形状の観察といった分析機器を使用する機会が多くなり、詳細に分析した結果からさまざまな考察を導き出すプロセスのおもしろさを実感するように。とくに印象深かったのは、市販製品の分析実験で、先生が買ってきた商品の成分表示を自分たちで検証し、時には「その他」とまとめられた成分の詳細まで明らかにできた時は達成感がありましたね。

卒業研究では高分子化学を専攻し、タンパク質系の材料を主に扱いました。研究内容は、タンパク質を用いた薄いフィルム状の膜を作成し、その特性を分析して考察。より良い材料へと改善していくというものでした。将来的には医療用途への応用を見据えた基礎研究という位置づけで、指導教授のビジョンに共感し、その実現に貢献したいという想いで取り組みました。最終的にはさまざまな条件下でのフィルム膜生成に成功し、個人的に有望と考える薄くて応用性の高い膜の作成まで到達しました。

頑張りや成果がきちんと評価され、自己成長できることが入社の決め手に

高専で出会った分析のおもしろさ。分析機器を使うと、パッと見では見えないものの成分が何%含まれていて、どういう元素が隠れているかが明らかになります。まるで謎解きをしているような感覚で、明確に答えが出てくる魅力を感じていました。そのため将来の仕事として、実験を通じた製品開発や品質管理をイメージするようになり、就職活動では分析機器を使える職種を中心に探すようになりました。

コロナ禍だったこともあり、インターンシップにはあまり参加できませんでしたが、化学系や医薬品、食品系で品質管理部門がある企業を調べて、オンライン説明会等を聞きに行きましたね。

座談会などで実際に働く先輩方の意見を聞く機会もあって。とくに印象的だったのが、高専卒と大学院卒で同じ業務内容なのに、いつまで経っても大学院卒の給与に追いつけないという話を聞いたことです。その話から、評価が年功序列だけではなく、個人の頑張りや成果も反映されていくかどうかを、企業選びの軸として考えるようになりました。

一方、エーザイではチャレンジしたいと思って手を挙げたら積極的に何でもやらせてくれる企業風土があり、個人の成果をきちんと評価してくれることがわかりました。そのような成果主義の環境で働くことができたら、自己成長につながるのではないかと思い、惹かれましたね。

またヒューマン・ヘルスケア( hhc )理念ついて、人事の方や企業説明会でお話しするたびに、皆さんどんな時も「患者様のために」という言葉が第一に出てきて、一人ひとりがhhc理念を持って働いていると感じたことも入社を決意する後押しとなりました。

入社後は岐阜の川島工園への配属となりました。出身は三重のため、一人暮らしをしなければいけないとは思っていたものの、それほど遠い距離でもなく、帰りたい時に三重に帰れる距離だったので気にしていませんでした。当社では借り上げ社宅制度や住宅補助等の手厚い福利厚生があるので安心して一人暮らしができています。初めての一人暮らしは最初こそ少し大変でしたが、やってみるとどんどん慣れていって、今では問題なく暮らせていますね。

品質管理技術職として入社した同期は10人くらいでした。工場に配属される前には全職種同期全員で研修があり、コンプライアンスや社会人としてのビジネスマナーなど、基本的なところを学び、研修の中で同期とは仲良くなりましたね。当社は定期的に研修の場が設けられているので、離れた同期とも研修で集合したり、出張で名古屋に来る同期もいたりして、その度にみんなで集まっています。

現在は、品質管理部 IPC(In Process Control)グループに所属し、川島工園第3製剤棟内で製造している中間製品の物性試験を実施しています。物性試験とは質量や厚み、硬さを測定したり、どれくらいの時間で溶けるか、あるいは汚れ、異物などが混入していないかを確認したりします。ここは川島工園製品の品質を守る最前線であり、高品質な製品を安定的に供給するため経口剤製造部製剤グループと日々連携を密にして、製品の品質をタイムリーかつ厳密に管理しています。 

IPCの業務では、これまで私が扱ってきた分析機器とは異なる機器を使用するため、最初は見たことも触ったこともない機器を目の当たりにしてすごく驚きました。職場も研究室のようなところではなく、工場内の製造現場と隣り合わせの場所で働き、実際に薬が作られてくる過程を目の前にしながら、ものづくりに関わっている実感があります。

最初は初めてのことばかりで戸惑いましたが、先輩方が手厚くOJTをしてくれて、一つひとつ覚えていきました。工場内はすべて手順書に従い作業が定められているので、それをひたすら読み込んで覚えていった感じでしたね。

初めてのことも「やってみよう」と前向きに。高専での学びが支える、積極的な挑戦

入社してから最も印象に残っているのは、1年目の途中から手順変更のプロジェクトを任されたことです。普段私たちは手順書に従って試験を行っており、手順書に記載されている内容は、患者様の命に関わる薬づくりに直結するため、その手順一つを変えるにもいろいろ検証し、確実な根拠を持って変える必要があります。

具体的な変更内容としては、試験機器の機種追加です。物性試験における錠剤の硬度測定について、当部署には硬度を測る試験機器が2つあり、1つは自動で質量、厚さ、錠径、硬度を一気に測ってくれる機器、もう1つは手作業で錠剤を1錠ずつ置いて割る機器でした。海外製品については手作業の機器を使用するよう手順書で定められていて、なぜこれだけ手作業の方を指定されているのか疑問に感じました。

そこで背景を調べてみると変更が可能なことが判明し、自動の測定機器と手動の機器で、測定値をブリッジング検証(両機器での測定結果に差異が生じないことを検証)し、変更を実現することができました。結果として作業スピードが大幅に向上し、皆さんにも喜んでもらいましたね。

最初に「変更をやってみないか」というお話をもらった時は戸惑いましたが、やりたい気持ちがあるなら、チャレンジさせてくれる環境だったので、前向きに頑張ろうと思いました。1年目で自分が中心となってさまざまな検証を行い、実際に変更を実現できたことは、すごく嬉しく、達成感を感じた出来事でした。

一方、失敗から学んだこともあります。現在取り組んでいる機器導入のプロジェクトにおいて、社外の方とのやりとりが大幅に増え、メールのやりとりや電話での対応が多くなる中で、情報伝達不足によりすれ違いが生じてしまい、機器の納期が遅れるという事態が起こりました。

これ以降、電話で話したことは、その後メールでもう一度送って文章にして形に残すなど、念には念を入れてやりとりすることを意識し、また、期日に間に合わせるためのスケジューリングを念頭に置いて、行動していく必要があることを学びました。

今年に入ってからは試験者だけでなく、責任者として試験結果をチェックする業務も任せてもらえるようになりました。責任者の立場になってから、「目の前の試験を正確に行う」という視点から「グループ全体で品質を保証する」へと視野が広がり、一つひとつの確認作業が、製品の信頼性を支えているという責任感を持ちながら、日々業務を行っています。

手を挙げれば経験させてもらえる環境だからこそ、1年目で手順書の変更や3年目では責任者という立場も与えてもらいました。いろんなことに日々チャレンジすることで、積極的に前向きになったなと感じています。

現在、自分から取り組んでいるテーマもあります。蓄積されたデータを活用して異変を察知しやすい体制を整える、というものです。普段よりちょっと数値が大きいとか、だんだん変動幅が大きくなってきているという違和感を察知して、大きな品質トラブルが起きる前に知らせることが大事で、それをデータを用いて実現できないかと、取り組んでいます。

高専で学んでいた分析化学とはまったく違う物性試験の世界に飛び込みましたが、高専で培った実験の段取りや報告書の書き方、取り組む姿勢は今の仕事に活かされています。実験することに慣れていたため、初めてのことでも積極的に「やってみよう」という気持ちで取り組むことができたのは、高専で学んだおかげだと思います。

「患者様のために」挑み続ける日々。手順書の意味を知り、品質管理保証の重みを実感

現在の仕事で最もやりがいを感じるのは、製造現場で働いているからこそ得られる多角的な視点です。「最近こういう現象があって、この機械の条件を見直してもらえませんか」と製造部に働きかけて、より良い条件で薬が作れるようにするなど、タイムリーにやりとりができ、すぐに製造に反映されるところは、責任感も感じますし、大きなやりがいでもあります。研究室にこもって研究するのとは違い、ものづくりのそばで試験結果がすぐ反映される環境は、非常に刺激的だと感じています。

そうした日々のやりとりの中で強く感じるのは、関わるすべての人が根底に「患者様のために」という気持ちを持っていること。薬の安定供給を行うことが患者様の命を救うことになると信じており、これは工場全員の根底にある共通の想いです。品質をより良くするにはどうしたらいいかを話し合う際も、必ずこの想いが基盤にあります。この共通の価値観があるからこそ、部署を超えた連携がスムーズに進むのだと思いますね。

一つの試験を取っても非常にたくさんの手順書があり、一つひとつが細かく規定されていることに最初は疑問を感じていました。しかし先輩から「こうしないと安定した薬が保証できない。患者様の信頼を得るために小さなことでも手順書で定められていて、みんなそれに従って確認しながら作業することで良いものづくりができる」と教わり、手順の大切さと、それを守った上で品質が保持されていることを理解しました。だからこそ、一つひとつの業務に真剣に向き合っているんです。

今後のビジョンとしては、まだ品質管理の一部しか知らないので、IPC以外の理化学や微生物も学んで、幅広い品質管理の知識や経験を積み重ねていきたいと考えています。品質管理部全体の業務を理解することで、より広い視野を持って患者様のための品質保証に貢献していきたいです。

プライベートでは、同期や先輩方と一緒にスノーボードや登山など、岐阜の豊かな自然を生かしたアクティビティに挑戦することもあり、毎回新鮮な体験ができています。今まで外で活発に遊ぶタイプではなかったのですが、品質管理部や製造部の先輩方はアクティブな方が多く、それに引っ張ってもらって一緒に遊んでもらうことが多いです。仕事とプライベートの両面で、エーザイでの生活を充実したものにできています。

理系分野が好きな高専生の皆さんには、ぜひエーザイを検討してほしいと思います。

私自身、現在の仕事では知的好奇心を刺激される場面が数多くあります。一つひとつの試験結果をチェックしていても、「何が作用してこういう現象が起こっているんだろう」「硬度が低くなってしまったのはなぜか?」などと、考えることがおもしろい。各工程の試験データや製造状況、原料の状態まで遡って照らし合わせると、答えが見えてくることもあります。まさに幼少期から好きだった「なぜ?」を追求する姿勢が、現在の仕事で発揮できていると感じています。

様々な可能性を考えて分析して突き詰めていくことが好きな方には、すごく向いている環境です。製造部でも、より良く造るにはどうすればいいかを追求しているので、学科関係なく、ものづくりが好きな高専生の皆さんにおすすめしたいですね。

※ 記載内容は2025年9月時点のものです