私が所属するメディカル本部オンコロジー部は、メディカル戦略に基づいた医科学的な議論を通じて、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる重要な医師とのエンゲージメントを構築し、非臨床及び臨床の研究活動を通じたエビデンスを創出することによって、製品価値の最大化や、治療の質ならびに患者様のベネフィット向上を目指す部署です。
具体的な業務としては医師主導研究や共同研究の立ち上げ、KOLとの面会、学会参加、セミナー企画、アドバイザリーボードの開催などを通じて先生方とインタラクションを行い、エビデンス構築やクリニカルクエスチョンといったインサイトを収集することが挙げられます。
オンコロジー部は疾患別・薬剤別に3つのグループに分かれて活動しており、中でも私が所属するグループ1はGIキャンサーという肝臓や消化器系のがんに携わっています。メディカル本部の仕事は本来、戦略を立てるメディカルアフェアーズ(MA)と現場に出るメディカルサイエンスリエゾン(MSL)に分かれていますが、エーザイではその両方を一気通貫で担当します。私は2025年の3月までMRをしていたこともあり、どちらかと言えばMSLの役割を担うことが多いです。リエゾンにはフランス語で「橋渡し」という意味があることから、医師とエーザイ、病院と企業、患者様と医師などさまざまな人同士の架け橋になれるよう、日々邁進しています。
メディカルには非常に多様なバックグラウンドのメンバーがいます。私のような営業出身者もいれば、臨床開発出身者、もともと病院で勤務していた方、統計の専門家の方など、さまざまなプロフェッショナルがおり、お互いの知識や経験を共有しながら協力して業務を進められる雰囲気が魅力です。
そんな中で私が一貫して大切にしている価値観は「挑戦」です。入社してからこれまで、さまざまなことに挑戦してきました。とくに現在の部署では、自身が多様な経験を積むことで仕事の幅も広がるので、自己研鑽への意欲や「こんなデータがあったらいいのにな」といった未開拓の分野への挑戦心が必要です。
そのため私自身も統計や臨床研究、データベース研究、プログラミングなど幅広いことに挑戦し、その理解を深めて業務に役立てています。また、多くのステークホルダーと関わる部署なので、誠実さや多様性への理解も重んじています。
私が医学の道に進んだきっかけは、高校生の時の出来事にさかのぼります。祖父が脳梗塞になってリハビリを受けていた時、そこで出会った作業療法士の方が非常に祖父に寄り添ってくれているのを見て「素敵な仕事だな」と思い、大学では作業療法を学ぶことに決めました。
大学では作業療法の勉強に励み、無事に作業療法士の資格を取得しました。しかし、大学院に進む際、私の関心は薬の研究へと移っていきました。そのきっかけとなったのも、また家族の病気です。祖母が糖尿病を患って食事療法・運動療法・薬物療法を行うことになり、どの治療がもっとも効果的なのか卒業研究で学ぶことにしたんです。糖尿病と付き合うためにはどの治療も非常に大切ですが、研究を行っていく中で薬物療法の効果の高さに気づき、薬に興味を持ったことから、大学院ではレギュラトリーサイエンスや公衆衛生学、疫学を学ぶことに決めました。
大学院で薬について学んだ私は、製薬会社を中心に就職活動を始めました。就職活動の軸として、作業療法士の資格を持っていたこともあり、患者様のことを大事にしている企業で働きたいと考えていました。そんな時出会ったのがエーザイです。hhc(ヒューマン・ヘルスケア)理念を掲げていることに魅力を感じ、初めは臨床開発分野に応募しました。その時はご縁がなかったのですが、数カ月後に「MR・MSLとして一緒に働きませんか?」と声をかけてもらい、2019年4月に晴れて入社することができました。
入社後は、MRとしてのキャリアがスタートしました。最初の約2年間は地域連携ということで幅広い領域を担当し、ニューロロジー、免疫、オンコロジーなど多様な製品を扱っていました。そして、入社3年目にオンコロジー部門へ異動することになり、そこから2025年3月まで約3年間、オンコロジー専門のMRとして従事しました。オンコロジー部門では主に抗がん剤を扱う大学病院や中核病院、基幹病院といった大規模な医療機関を担当し、がん治療の最前線で活動する貴重な経験を積むことができました。この期間は、私にとって非常に充実した学びの時間となり、現在のメディカル本部での業務につながる重要な基盤を築いた時期だったと感じます。
私は入社当初から「いずれは世の中に価値ある薬剤を届けることができる人材として活躍したい」と考えており、製品の導入や提携交渉などに関わるビジネスディベロップメント(BD)や薬事部門に向けてキャリアを積みたい思いがありました。エーザイにはジョブチャレンジ制度(※1)という社内公募制度があったため、まずは何事も挑戦してみようと思い、薬事部門に希望を出しました。
残念ながら1回目の挑戦ではご縁がなかったのですが、その時に自身がこれから身につけるべき知識や経験について貴重なフィードバックをもらい、それを元に再び今後のキャリアを考えることにしました。そこで入社当時から興味のあったメディカル本部というステップを一度踏んでみたいと思い、再びジョブチャレンジ制度を活用してメディカル本部オンコロジー部への異動を希望しました。書類審査と面接、2回の審査を経て、無事異動が決定した時は支援してくれた周囲の方への感謝と新しい挑戦ができることへの喜びが溢れました。
異動後はMR時代とは大きく異なる仕事の特徴を実感しました。MRには「営業して薬を売って営業利益を出す」というわかりやすい目標がありますが、メディカルは営業をしてはいけない上、明確な数値目標はありません。自分たちの活動が直接に利益につながるわけではなく、MRが活動しやすいようなデータを作ったり、開発部門が開発しやすいように先生方のニーズを収集したりして、周囲をサポートすることが主な仕事です。そのため、多様なステークホルダーに対する交渉力やコミュニケーション能力が身についたと感じます。
異動してまだ数カ月ですがその中でとくに印象深かったのは、ある大学の教授から希少がんに関する質問を受けたことです。症例数が少ないがんのため、薬物治療に関するデータがかなり限られていることについての相談でした。先生の力になりたいという思いで、社内外のさまざまなネットワークを使ってデータを集め、先生にお渡ししたところ、非常に喜んでいただき、最終的にはその先生が希少がんに関する研究を独自に実施することになったと聞いています。
研究はかなり労力がいることなので、私の活動がそのきっかけになれたことは本当にうれしかったですし、研究を通じて次の患者様のお役に立てる可能性があることはメディカルとして強いやりがいを感じた瞬間でした。
※1 もともとは部署別に公募が出される制度だったが、2025年現在は職種単位での希望が可能
エーザイの魅力は、さまざまなことに挑戦できる土壌があることだと思います。企業にいると私のようにめざすキャリアややりたいことがあっても、それを実現できる人は本当に一握りだと思うんです。しかし、エーザイではさまざまな制度を使って、自身の描きたいキャリアを描くことができます。
今回私はジョブチャレンジ制度を活用しましたが、他にもインターンシップのように他部署を短期間体験できる越境制度など、社員の挑戦を後押ししてくれるような制度が複数あります。このような制度があることで、社員の挑戦意欲を掻き立ててくれることがエーザイの大きな魅力の1つです。
私は将来BD職で活躍できるよう、今さまざまな経験を積んでいるところです。BDでは幅広い知識や知見が必要になりますので、今は医学的な知識はもちろんのこと、ビジネス、財務などの経営的な知識、英語やAI、プログラミングなどのハードスキルも磨いていきながら、グローバルな視点で意思決定を支援できる人財になっていきたいです。
私はこうした学習へのモチベーションを維持するために、日頃からさまざまな情報収集を心がけています。私の強みは変化を楽しめるところだと思っているので、どこにいてもそこでの経験が自身の目指すキャリアに対してどのように役立つか考えて行動しています。
また医療情報だけでなく、日々さまざまな分野に関する記事を読むなど、いろいろなところにアンテナを張っておくことも大切です。一見関係ないことが実は本筋だったりすることもあるので、情報を選り好みせず収集していくということを意識しています。
私が思うエーザイで活躍できる人は、自身のキャリアに目標を設定できて、それに向かって努力できる人です。エーザイには挑戦を支援してくれる環境が整っています。この環境を最大限活かして、幅広い業務や出会いを経験し、自身のスキルを活かして好きなことを仕事にしてほしいなと思います。向上心を持って新しいことに取り組める人をお待ちしています。
※ 記載内容は2025年9月時点のものです