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hhc活動で気づいた潜在的なニーズを満たすため、患者様視点でアイデアを生み出し続ける

研究開発
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坂口 貴久 DHBL PPDファンクション ファーマシューティカル・サイエンス&テクノロジーユニット  製剤研究部 2001年入社(所属は2024年8月時点のものです)

hhc活動で気づいた潜在的なニーズを満たすため、患者様視点でアイデアを生み出し続ける

 

大学では分析化学を専攻し、研究職として2001年にエーザイに入社した坂口 貴久。現在は製剤研究部・製剤包装グループにて幅広い業務を担当しています。さらに入社2年目から20年以上にわたり、通常業務に加えて、エーザイが取り組むhhc(ヒューマン・ヘルスケア)活動も展開。アイデア創出の原点とは。その背景に迫ります。

 

大切にしているのは、わかりやすく伝えること、そして相手を想い全力で応えること

私が所属する製剤研究部は、岐阜県各務原市の川島工園内にある製剤研究棟を拠点としており、新薬候化合物の製剤化検討から治験薬製造と商業生産の立ち上げまでを担う製剤開発の“心臓部”です。2023年に注射剤の治験薬製造も立ち上がり、経口剤を含めて常に複数のプロジェクトを動かしながら新規分析法の開発や安定性試験などにも取り組んでいます。

製剤研究部はその機能ごとに8つのグループで構成されており、その中でも製剤包装グループは新薬および治験薬の包装設計から製造、国内外の申請対応まで幅広い領域をカバーしています。私は包装作業の推進者としてメンバーに対する教育訓練や専門性向上のための技術指導、機器のメンテナンス業務を担当。さらに新たなチャレンジとして、作業の効率化、省力化を目指した工程改善や新規技術導入にも取り組んでいます。

われわれのグループには研究員に加えてアルバイト社員と派遣社員も所属しています。

メンバーとコミュニケーションを図る上で私が大切にしているのは、わかりやすく伝えること、そして相手のことを想い、全力で応えることです。多くの場面においては、相手のバックグラウンドや専門性を理解した上でわかりやすく噛み砕いたコミュニケーションが求められます。

新たな技術を習得し効率的にスキルアップしてもらうためには、メンバーの強みや弱みを理解し、伝え方やその後のフォローアップを含めてうまくいかなかった点を反省しながら、より良い信頼関係を構築するための努力が欠かせません。

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価値観を大きく変えたのは、入社2年目で参加したhhc活動でリーダーになったこと

私が創薬に興味を持ったのは、高校3年生のころに阪神・淡路大震災で被災し、自宅が全壊していく中で生と死の紙一重の状況を経験したことがキッカケです。そのころから一度消えかけた命の灯を再び完全燃焼させる対象として「新薬開発に携わる研究者となり1人でも多くの患者様の命を救いたい」という想いが芽生えました。

その後、就職活動の中でエーザイの企業理念に共感し、面接試験でも自分の想いをハッキリと答えることができました。その時の光景は今でも鮮明に覚えていますし、この会社なら自分の夢を実現できると感じました。

入社後に私の価値観を大きく変えたのはエーザイが長年取り組んでいるhhc活動(※)です。私の故郷は瀬戸内海の淡路島ですが、今から23年前の入社式に向かう際、港の堤防から見えなくなるまで手を振ってくれた母の姿が今もまぶたに焼き付いています。15年前に私が33歳の時に他界しましたが、父の顔も知らず母子家庭で育った私にとって母は特別な存在であり、私が遠く離れた研究所で頑張っている姿をいつも応援してくれました。

今振り返れば、難しい創薬の話よりも認知症ケア施設への訪問など、入社2年目からリーダーとして取り組んだhhc活動に関する会話のほうが多かったと思います。私にとってのhhc活動はエーザイ人として不可欠な要素であるとともに、家族に対して自身の考えや成長していく姿を伝えるためのコミュニケーションツールになっていました。

hhc活動については毎年新たなテーマに取り組み続け、その成果として年に一度開催されるR&Dのhhc大会において国内代表プロジェクトとして何度か選出されました。

※ hhc活動:hhc理念実現のため、国内外全社員を対象に年間業務時間の1%(約2.5日)を「患者様・生活者」と同じ時空間を共に過ごし、そこで得た気づきなどを組織で共有し、患者様や生活者の皆様の潜在的なニーズを満たすため具体的な行動計画を立てて、実行する活動

 

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小児の患者様との共同化体験から生まれた、新たな医薬品パッケージのアイデア

hhc活動を通じて20年以上にわたりさまざまな病院や介護施設を訪問させていただいた中で、私が大切にしていることは「製薬会社の研究者」という肩書をいったん忘れて1人の人間として同じ時間を過ごし喜怒哀楽を共にすることです。患者様や医療現場が求めている「潜在的なニーズ」とは互いの信頼関係性が構築できた時に見えてくるものだと思います。

これまでの活動の中でとくに印象に残っているのは、2013年の「お出かけ理科実験教室」です。当時の実験教室は2部構成。前半は入院中の小児の患者様とそのご家族と一緒に割れないシャボン玉やバスボム作りを行い、後半はご家族との座談会でした。何度か実験教室に参加した際に、理科実験が終わった後、寂しそうに個室に戻って行く子どもたちの姿が目に留まりました。

その時、ほんの少しでもつらい治療や制限された入院生活から解放される特別な時間を共有できないかと思い、自ら考えた実験のアイデアを病院関係者の方に提案させていただいたところ、「ミニ実験コーナー」を開設できることに。安全性や衛生面に配慮した10種類以上の実験アイデアを通じて、薬の誤飲防止や服薬管理についてわかりやすく解説しながら、入院中の子どもたちとの楽しい時間を過ごすことができました。

その後、別の病院でもミニ実験コーナーの開設に向けてアイデアを提案したものの、却下に。理由は目が不自由な患者様の存在を知らずに色や見た目を重視した内容だったからです。この経験を通じて、入院中の子どもたちには病状によってさまざまな制限があることに気づきました。そして、体が不自由な患者様でも片手で開封可能な医薬品パッケージのアイデアを思いついたんです。

片手で開封可能な医薬品パッケージのアイデアを具現化するため、関係者を巻き込みながら試行錯誤を繰り返しました。その結果、最終的には今後の治験薬として採用できるまでの完成度となり、日本のほか、米国、欧州、中国、アジアで特許として権利化もできました。さらに2023年の全日本包装技術研究大会でこれまでのhhc活動を開発ストーリーとして発表し、優秀発表賞を受賞して全国版の新聞や雑誌にも特集記事が掲載されました。

またパッケージを開発する中で、今後の包装設計や治験薬製造における作業者の負荷を軽減するため、人間工学についてより深く学びたいと一念発起。「人間工学準専門家」の資格試験に挑戦し、2024年に無事合格することもできました。

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研究者としてブレない“信念”を持つことで新たな出会いや大きなチャンスが巡ってくる

エーザイには一見不可能に思える課題に対しても果敢に挑むことで斬新なアイデアを生み出し続けられる環境が整っています。私が20年以上にわたりhhc活動に取り組んで来られたのは1人で考えたアイデアであっても最終的にはチームで協力して具現化できる体制があったからです。日常業務を通じて得られる経験も大切ですが、さらに成長するためには病院や介護施設を訪問し患者様との共同化体験によって欠けている部分を補うことが重要です。

常に自分が当事者になったことを想定し患者様やご家族の視点に立つことで見えてくる景色も変わってきます。かけがえのない人を失う悲しみ、苦痛に耐えている患者様の存在、そして今日もどこかで「神様お願いします、どうかこの子の病気を治し一日でも早く元気な体に戻してください」とご家族が祈っている現実があるのです。そして自分に何ができるかを自問自答しながら、決してブレることのない「信念」を持ち続けることで、新たな出会いや大きなチャンスが巡ってくると信じています。

私はエーザイに入社して20年以上の間、研究者として新薬開発に携わり、これまで担当したプロジェクトでは10品目以上の製品を世界の患者様に届けることができました。その中で、現在の主力製品となった抗がん剤や次世代を担う認知症治療薬に関する特許の発明者にもなれました。

プライベートでは、高校生になった娘の三者面談に同席した時のことが忘れられません。先生から将来の夢について聞かれた娘が「父のような研究者になって世の中の人に貢献したい」と言ってくれた時は、驚いたと同時に、これまでのhhc活動のアイデア作りや研究者としての「夢」を語っていたことがフラッシュバックして思わず目頭が熱くなりました。

最後に、現在私が担当している治験薬の包装は人による目視確認や手作業が多く、AIによる判定や機械化できる余地がまだまだあると思います。私自身も作業者の負荷を軽減するための専用治具の作製やロボットアームの導入などさまざまな改善提案を行ってきました。

新たな方にエーザイへ入社いただいた際には、製品品質を高めるとともに作業を効率化できる斬新なアイデアを一緒に考え、実際の包装作業で実用化したいですね。

※ 記載内容は2024年8月時点のものです 

 

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