ITは「手段」、目的は患者様への貢献。hhc理念を体現する若手リーダーの挑戦
2017年に新卒入社した戸谷塚 哲史。「我々の造る一錠、一カプセル、一管が患者様の命とつながっている」という言葉を胸に生産技術職で多様な経験を積んだ後、グローバルデジタル業務改革本部に異動し、生産領域のIT化を担っています。高品質の薬を患者様に届け続けるために邁進する戸谷塚の思いとは。
現場を知るからこそできる「使われるIT」。工場出身者が挑む製造DXの最前線
私は現在、グローバルデジタル業務改革本部 日本・EAGS(イーストアジア・グローバルサウス)リージョンの業務改革ユニットに所属しています。この部署のミッションは、担当リージョンの事業部門の業務の目標達成に向けてIT面からサポートすること です。その中で、私は主に生産領域を担当するグループに所属し、製造や品質部門のITシステムの企画、開発維持管理を担当しています。
たとえば、医薬品の出荷時に必ず行う品質試験の実施指示や記録がもともとは紙で行われていたため、それを電子化する取り組みを進めています。また、試験にはさまざまな分析機械を使用しますが、その機械の結果の値を自動取得して、データインテグリティ(データの完全性や整合性)を担保し、間違いのない試験を実施するような取り組みも行っています。
私たちのチームは社員7人で構成されており、私は品質管理関連のチームリーダーとして、いくつかのシステムのリプレイス対応や新機能導入を担当しています。チームメンバーの構成は私のような工場出身者が3分の2ほどで、残りはさまざまなメーカーのITを担い、キャリア採用で入ってきたメンバーです。工場出身者は現場をよく理解した上でシステムの導入提案をサポートできますし、キャリア採用のメンバーはITの技術的な面で知見を生かしてくれているので、両者がうまく協力できていると感じます。
今の時代、さまざまな企業でスマートファクトリーや製造DXが盛んに行われていますが、当社でも数年前からその取り組みを始めています。ただ、データをどう利活用していくか、人の経験やノウハウに依存しすぎずに製造をどう行うかといった攻めの領域については、まだまだこれから検討していくという段階で、正直失敗も重ねながらトライアンドエラーを繰り返しているのが現状です。それでも着実に一歩ずつ、現場のメンバーと連携を取りながら、よりよいシステム作りに取り組んでいます。
仕事をする上で私がもっとも大切にしているのは、ITはあくまで手段であり、それを使ってどう業務を改善し、患者様に貢献できる かというところをしっかり考えることです。せっかく作ったシステムも現場で使ってもらえなければ意味がないので、実際に使う現場の担当者にとって使いやすく、使ってメリットがあると思ってもらえるような企画・開発を心がけています。そのため、現場の担当者と密にコミュニケーションを取ることを大切にしています。プロジェクトによっては実際に工場に出向いて要件定義を行うこともありますし、以前工場で働いていた頃の人とのつながりもあるため、気軽に相談できる環境です。

社会の基盤を支えたいという想いから製薬業界へ。広がるキャリアと深まる使命感
大学・大学院時代は経営工学を学び、統計学や情報技術などのさまざまな仕組みを使って、ヒト・モノ・カネといった社会を動かす要素をどう活かすかについて学びました。とくに研究室では品質マネジメントを専攻し、産業界で一般的に行われている品質や生産管理の仕組みを、病院や医療現場にどう応用・適応していくかということを研究していました。
大学院で医療現場に関する研究をしていたことから、就職活動では、医療をはじめとする社会の基盤になるような業界を志望していました。また、モノづくりに興味があったので、モノづくりを大切にしている会社がいいという思いも持っていました。そこで出会ったのがエーザイです。採用選考が進んでいくにつれ、品質を大切にしている会社だということが強く伝わってきたほか、患者様の声をしっかり聞いて製品の生産につなげている様子が印象的でした。また、生産工場を自社で持っていることにも魅力を感じ、入社を決めました。
こうして2017年に生産技術職としてエーザイに入社。最初はすでに販売されている製品の改良をメインで担当し、そのうちに「スマートメディスン」といわれる服薬を管理する仕組みを考えたり、スマートファクトリー化の構想を練って実際のテーマに落とし込んでいく取り組みに参画したりしました。学生時代に統計学を学んでいたことが大いに生かされた一方で、化学などの知識はなかったため、入社してからキャッチアップに励みました。
エーザイには「我々の造る一錠、一カプセル、一管が患者様の命とつながっている」という品質方針があります。工場では「もしも自分たちが不良品を作ってしまったら、たとえそれがたった一錠の薬だったとしても患者様に大きな迷惑をかけてしまう」という使命感を持って働いている人が多く、私自身もこの言葉が気に入っています。また、工場はチームワークが大切な仕事が多いので、相手のことを思いやれる温かいメンバーが多いことも魅力です。
エーザイの生産技術職はキャリアに広がりがあることも特徴です。工場の生産現場でのキャリアだけでなく、生産計画の管理を任されたり、私のようにシステム管理などの間接部門に配属されたりする人もいます。そこから本社へ異動になることもあるなど、さまざまなキャリアが描けるところも魅力の1つです。

工場から本社へ、自ら手を挙げた挑戦──およそ300人の働き方を変えるシステム導入
工場でスマートファクトリーやシステムに携わっていく中で、ITの力は今後ますます重要になってくるだろうと感じました。労働人口が減少する中で今までの長年の経験に頼らず、誰でも高品質な医薬品を生産するためにはITやデジタルの力が必要不可欠だと感じたのです。それを実現するためにも本社に移動しシステム導入を推進してみたいと思い、2022年に自ら希望を出し、グローバルデジタル業務改革本部へ異動しました。
現在の部署に異動してからもっとも印象に残っているのは、3年がかりで取り組んだ鹿島事業所・川島工場の製造管理システムのリプレイスプロジェクトです。生産領域にとってはとくに大きなシステムだったので、関係するステークホルダーの数が多く、そのマネジメントが最大の課題でした。全体の会議での確認だけでは解決できない課題がたくさんあり、プロジェクトメンバーの人と日々しっかりとコミュニケーションを取ることを心がけました。
技術的な面では、生体認証の仕組みをエーザイとして初めて導入したことがとくに印象深かったです。製造管理システムでは、工場の作業者は自身の作業記録を入力するたびにIDとパスワードを入力し、誰が記録を書いたかという正しさを保証する必要があります。人によっては1日に何十回もIDとパスワードを入力することがあるのですが、それを生体認証でできるようにしたのです。設計や実装は大変でしたが、結果的に効率化が図られ、現場から「入力が簡単になった」という声をいただけた時の達成感は格別でした。
これらのプロジェクトを通じて、IT施策を進める力が身についてきたと実感しています。現場や業務フローをしっかり理解する力、ITに関する技術的な知識、そして基本的なプロジェクトマネジメント力という3つの要素が必要だと思うのですが、それぞれを学ぶ機会があり、自身の成長を感じます。マネジメント力が高い先輩社員とともに業務をしたことで、先輩の背中から学ぶことが多々ありました。今は自分自身がリードすることもあるので、先輩から学んだことを後輩に伝え、少しでも彼らの役に立つようにしたいと思っています。
現在の仕事でもっともやりがいを感じるのは、自分が携わったシステムが多くの人に影響を与えることです。工場には約300人のメンバーがいて、私が導入するシステムで多くのメンバーの仕事のプロセスが変わります。それによって製品の高品質や安定供給といった、エーザイの根幹に関わる部分に貢献できることに大きなやりがいを感じています。
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患者様からの信頼を守り続けるために。生産部門のIT化に挑む、理念を体現する社員
エーザイの魅力はなんと言ってもヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念が全社に浸透していることです。私もその理念に魅力を感じて入社した人間の1人ですが、実際に入社してみると工場でも、本社でもhhc理念を大切にして働いている方ばかりです。hhc理念に共感できる方であれば、とても働きやすい環境だと思います。
また、若手のうちからさまざまなプロジェクトを任せてもらえることも大きな魅力です。工場に配属されていた頃は、スマートファクトリーの構造を担当させてもらったり、海外の技術支援で中国に派遣してもらったり、さまざまな経験を積ませてもらいました。今も主要なプロジェクトのリーダーを任せてもらえているほか、全体を通じて若手の意見をしっかりと取り入れる風土があり、風通しのよさを感じます。
私が今後もっとも力を入れていきたいのは、生産部門をよりよくしていくことです。生産部門は患者様が服用する薬を作るという重要な任務を果たす部門です。エーザイはこれまで長年患者様に高品質な薬で貢献し、信頼を得てきましたので、その信頼を裏切らぬよう、全力で生産部門をサポートしたいというのが私の願いです。
その一方で当社の生産部門はIT化やデジタル化と言った切り口では、まだまだ伸び代があると思っています。そこで今後、工場の人財の世代交代や働く人の変化があっても高品質の生産や安定供給を引き続き守っていけるよう、ITやデジタルの力を使って生産部門の業務効率化や安心・安全に向けた取り組みに力を注いでいきたいです。
これから就職活動をする方に伝えたいことは、入社前から特別な技術力は必要ないということです。それよりも企業理念に共感できることや、1つのことを投げ出さずにやり遂げる力があることが当社で働くにあたって非常に重要だと思っています。自分自身で何かを最後までやり遂げたいと思う方とぜひ一緒に働きたいですね。
※ 記載内容は2025年10月時点のものです