“包装”は、医薬品を市場に出す最終形態まで仕上げる仕事
包装グループではその名前の通り、でき上がった錠剤やカプセル剤に対して包装を施していく業務を担当しています。錠剤をPTPシートで包装したり、専用容器やボトルに入れたりしながら箱詰めし、市場に出す最終形態にまで医薬品を仕上げていく、エーザイのものづくりの中でも最終工程を担っています。当グループに所属する社員は20名ほどです。
私は包装現場のラインオペレーターとして、機械を動かしたり点検を行ったり、製品の品質を検査したりといった業務に携わっています。医薬品を扱うことから製造現場にはかなり厳しいルールが敷かれているため、製品に異常がないか1時間に1回確認するだけでなく、取得したデータの記録を慎重かつ丁寧に行うよう心がけています。
また、包装現場での工程改善も担っていて、生産作業の効率化のために製品のラインを改造する業務や、特定の製品の生産量を増やす際にラインを移管するような業務も行っています。
以前、ある製品の包装工程の前半と後半の作業をそれぞれ別ラインで行っていたのですが、これをコンベアなどでつなぎ一貫生産ラインとしたことで、所要日数を半分に減らすことができました。こうしたライン改造を実施したり、新しい設備を導入したりするにあたっては手順書も変える必要もあるため、それらの改定業務も担当しています。
2019年にエーザイに入社して以来、ずっと包装グループで働いていますが、年次を追うごとに役割は変わってきています。1年目は現場に入って製造工程を学ぶにつれ、新しい設備を導入する際の手順書の改定を少しずつ任せてもらえるようになりました。5年目を迎える2023年3月現在は、包装グループのリーダーとして、マネージャーと話し合いながら現場の課題を解決したり、ほかのメンバーに業務を振り分ける機会も増えたりと、徐々に責任が大きくなっていると感じています。
仕事をする上で大切にしているのは、わからないことがあったときにその場で解決に向けて動くことです。包装グループでは機械を取り扱うことが多いのですが、私は機械工学に明るくないため、ことあるごとに説明書を読んだり、調べてもわからないことは先輩に聞いたりしながら、理解するよう心がけています。また、手順書や工場内のルールについても、定められた背景に不明な部分があれば、やはり調べたり聞いたりして明らかにしてきました。そうやって解決に取り組む上では、大学や大学院時代の研究で培った、多方面からアプローチして課題を克服するスキルが活かせていると思います。
一方、周りの人と接する上で大事にしているのは、自分の考えを押しつけず相手の話をしっかり聞くことです。たとえば、エーザイには、新入社員に対して先輩社員がマンツーマン指導するプログラムがあるのですが、後輩が学んだことやこれから取り組んでいきたいことを記したレポートを指導者として添削する際、「正解はひとつではない」と肝に銘じ、後輩の考えを尊重しながらアドバイスするよう心がけていました。
“包装ラインオペレーターとして3カ月かけて取り組んだ、前例のないライン移管業務
大学院時代は化学を専攻し、たんぱく質に関する研究を行っていました。就職活動をする上で軸にしていたのは「誰かの役に立つ仕事をしたい」という想い。病気で困っている人を助ける仕事がしたくて製薬業界を志望しました。
製薬業界の中でもエーザイを選んだのは、hhc(ヒューマン・ヘルスケア)理念のもと、患者様と接する機会を積極的に設けている点に惹かれたからです。自分の仕事の先にいる方々のことを知ったり、コミュニケーションを取る機会を得たりすることが、働く上でのモチベーションになると考えました。
生産管理・技術職は自ら選びました。大学院で研究する中で、自身の研究が成果として形にあらわれることは難しいと感じていたんです。生産職であれば、自分がしたことが製品という目に見える形になるため、やりがいを感じられると思ったのが理由です。
入社してしばらくは、現場に入って先輩の仕事の仕方を真似しながら、少しずつ仕事を覚えていきました。困っているときに手を差し伸べてもらうなど、親身になって面倒を見てもらったからこそ今があると思っています。
これまでで最も苦労した仕事は、3年目に担当した製品のライン移管です。特定のラインで生産している製品を別のラインでも生産できるように組み替えるライン移管の作業は、出たとこ勝負でできるものではありません。製品に傷がつくようなトラブルが起きないために、製造管理や品質管理の基準となるGMP(Good Manufacturing Practice)に沿って細かいルールを決めたり、計画書をつくったりと、事前に実験を念入りに行う必要があるんです。たとえば、「〜の異常があったとき、ラインが停止し不良品が流れない仕組みになっているか」など、一つひとつテストして確認する作業がとても大変でした。
先輩の過去の実績を参考にしたものの、まったく同じライン移管を行った前例は皆無。使用する機械も製品も異なる中、自分の判断で新たなルールを設定したり、それを文章に起こしたりしなければなりません。かなり難航しましたが、3カ月ほどかけて実験を無事に終わらせることができました。実生産に入って最初のロットの生産が終わったときは、大きな達成感があったのを覚えています。
“チャレンジする機会にあふれ、多様性のあるメンバーが集う刺激的な環境が魅力
入社してから携わった仕事の中で最も印象に残っているのは、入社1年目に新しい機械や設備を導入する際に、その手順を決める役割を任せてもらったことです。初めて担当したときは、何から取り組めばいいのかさえわからない状態でしたが、設備をつくっているメーカーを訪問して設備の仕様を確認したり、メーカーの担当者さんにベストな点検の方法について相談したりしながら、時間をかけて自分なりに最良と思える手順を組み立てていきました。フォーマットさえないところから取りかかり、苦労も多かったですが、最終的に手順が決まったときの充足感はすごく大きかったです。
生産管理の仕事の魅力は、成果が目に見えやすいところ。また、工程改善や工場内ルールの制定などさまざまな業務の経験を積みながら、新設備の導入や医薬品を生産する仕組みについて学べるのも生産管理ならではの醍醐味ですね。チャレンジできる機会があふれていますし、自分から「やりたい」と手を挙げれば挑戦させてもらえる風土もあり、やりがいを感じながら取り組むことができています。
また、私と同じ化学専攻だけでなく、学生時代に薬学や生物学を専攻していた人など、実に多様なメンバーが集まっている点も包装グループの魅力。相当な努力家であったり、相手に伝える力に長けていたりと、自分にない長所を持っている後輩もたくさんいて、とても刺激的です。
年次に関係なくざっくばらんに話ができる風通しの良い環境があるのもいいですね。とても働きやすい職場だと感じます。
“大切なのは、挑戦を楽しめるマインドと、解決に向けた積極的なアクション
エンジニアリング関連のメンテナンス担当者となった方もいれば、錠剤やカプセル剤を製造する製剤部門や、本社の管理部門に異動する方もいるなど、包装グループ出身メンバーのキャリアの描き方は多様です。私は、包装現場のラインオペレーターとして十分な経験を積んだ後は、包装の設計をしたり、新製品を開発する際に新しいパッケージングを考えたりといった、包装に関連する技術開発寄りの仕事に携わりたいと思っています。
包装グループの特徴は、前例のないことにも積極的にチャレンジするメンバーが多く在籍していること。新しい設備を導入したり、手順をつくったり、ルーティン業務ではない仕事を任せられる機会が多いので、未知のことを楽しめるマインドがあれば、やりがいを感じながら仕事に取り組めるはずです。
また、わからないことをわからないままにしないことも大切です。自ら調べるにしても周囲の人に聞くにしても、解決のためのアクションを繰り返しながら学んでいくことのできる人が、エーザイには合っていると思います。
DXの波が押し寄せ社内でも変革への意識が高まっており、いまは工場のあり方自体が見直されているタイミングです。これからますます新しいことに取り組む機会が増えていくことが予想されます。時代の変化に対応しつつ、楽しみながら挑戦できる方にとって、エーザイはうってつけの環境ではないでしょうか。